恋猫の二つの声の裏返る
おばさんと見られてをりぬ春野かな
人語欲り春昼ラヂオつと鳴らす
春愁の茶碗洗へば去りゆきぬ
五線譜に跳ねる音符や春驟雨
【俳句上達極意・やらなきゃそんそん埋字の法】
俳人・上田五千石に、
渡り鳥みるみるわれの小さくなり
という有名な句があります。
これは、ヒッチコックの技法を使ったような距離感覚で、
見事としか言いようがありません。
今日の出題は、この句の中七音のうちの六音を使ってみましょう。
○○○○○みるみるわれ○○○○○○
原句)
渡り鳥みるみるわれの小さくなり 上田五千石
季語がありませんので、春の季語を入れて詠んでください。
距離感にポイントを絞った原句に拘る必要はありません。
あなたの自由な感覚で詠んでみてください。
初蝶のみるみるわれに近寄れり 麗蘭
温水のみるみるわれの手すり抜けり 甘夏
春の雪みるみるわれの掌に果つる 柚香里
沈丁花みるみるわれに闇夜落つ 白妙
黄砂来てみるみるわれは黄粉餅 たまご
花吹雪みるみるわれを隠しけり たまご
竜天に登るみるみるわれの小さくなり たろう
葱坊主みるみるわれら縄文人 たろう
花の宿みるみるわれは溶けてゆく しん子
花粉症みるみるわれは鼻たれて 飛梅